■□オレンジ姫の物語□■
ペパーミントに続いて中に入ると、そこはこじんまりとしたカフェ風の佇まい。
窓やドアは2重になっており、中は吹きさらしの潮風から良く守られているようです。
「よくきましたね、さあお座りください」オパールが皆を招き入れました。
その後ろからジュリーが入ってきました「姉さん、カヌーは浜辺に準備したわ、月も出ているし
波はとても穏やかよ、この様子ならお城まではそんなにかからないわ」
「あの崖を降りてきたの?、二人とも、運動神経が良いって噂は本当だったのね」オパールはそ
う言いながらバロン、ペパーミント、ジンジャーにミルクを差し出しました。
もちろん、オレンジ姫ににも気遣いを忘れません。
「初めましてお姫様、私はオパール、こっちは妹のジュリー、こんな小さな家を見るのは初めて
でしょう、よくここまでがんばりましたね、ミルクは飲めますか?」
姉妹とも、素朴で優しい子たちのようです。
少し熱めのミルクをふぅふぅさせて、オレンジ姫はコクンコクンと喉を鳴らしながら飲み干しま
した。
ゴツゴツしたカップを不器用な手つきでテーブルに置くと、オレンジ姫は考えました。
ビックリしどおしで怖い思いもしたけれど、全てが初体験だった一晩の出来事が、ひとつづつ頭
の中によみがえってきました。
ジンジャーはもう、いつもの優しい目つきに戻っていました。